活用されてこその副教材

先日、都内の公立中学校でお目にかかったF先生から、最近送られてきたという各種の副教材を見せていただきました。そのほとんどが有名企業や、大手企業がたくさん加盟する業界団体が制作した立派な副教材ばかりです。テキストやワークブック、指導方法についてのDVDや指導書がセットになったものもあります。

具体的には電力会社や石油・ガスエネルギーの業界団体、家電メーカー、製紙メーカー、大手運送会社が制作して、無料で提供したもの。他に食品メーカーのものも複数目に付きました。どれもカラーで豪華な副教材であり、こうした無料の副教材が多数送られ、そして利用されることなく捨てられているという現実に正直ショックを受けました。

かつては、“無料です!”と自信満々、副教材を勝手に送りつけているケースが多くありました。しかし、最近では、そうした強引なやり方ではかえって逆効果であることがわかっていますから、勝手に送りつけるケースは減ってきているようですが、たとえ受け取っていただいても、内容を見てやはり使えないとなれば結果は同じことです。

F先生はどれにもいちおう目を通したらしく、「内容は悪くないのですが、残念ですがこのままでは使えないですよ。」というお話でした。その理由を尋ねると、「内容が高度すぎる、中学生の学習レベルに合っていない、学習のポイントが不明確」などたくさんの不満が出ました。60頁近いテキストをパラパラめくりながら、「内容は豊富ですが、使えるとしてもほんの数ページだけです」と残念そう。

プラスエムが制作をまかされる副教材でも、打合せ段階で担当者のジレンマをお聞きすることがあります。関連部署からの要望を入れざるを得ない事情があり、要望を入れるとどうしても内容が膨らみ、しかも正確に伝えるためには専門用語を入れざるを得ないというのです。その結果、対象学年のレベルを超えて、むずかしい内容になってしまうというわけです。担当者にも内容が膨らみ、その学年のレベルを超えてしまえば使ってもらえなくなるという心配はあります。

そこでプラスエムでは、そうした企業側の事情を考慮したうえで、全部使ってもらえない場合、部分的にでも使ってもらえる構成を提案しています。また、教科書以外の教材である“副教材”を活用してもらうためには、力量のある先生にご理解いただくことが早道だと考えます。そこで、できるだけそうした先生に絞って、まず見本をお送りし、じっくりご覧いただいたうえで必要部数を注文してもらうようにしています。そして、ご注文いただいた部数のみお届けするようにします。こうすれば、お金と手間ひまをかけた副教材が、むだなく使ってもらえる確率が高まります。

ここで必要となるのが、力量のある先生の情報です。プラスエムの持つ“先生方のネットワーク”がここでモノを言います。プラスエムから情報を発信できるのは、過去作品募集や講師派遣授業などでお世話になった先生が中心です。これらの先生は、校外の情報をうまく取り入れ“教材研究”(※)に利用できる技量を持つ、いわゆる“やる気のある先生”です。

プラスエムでは、まずネットワークの先生方にご案内し、自校はもちろん、歓迎してくれそうなお知り合いの先生をご紹介していただくことにしています。また、内容に関連する教科研究会の役員の先生方に協力をお願いすることもあります。このように、企業・団体から提供される良質な副教材が子どもたちの学習に役立てられるよう努力しているのです。

(※)教材研究:わかりやすい授業構成のために、教科書を補足する資料や情報を集めること。わかりやすい授業のためにとても重要な活動であり、“やる気のある先生”とは教材研究に熱心な先生と言って過言ではありません。


トップに戻る